祝完結!『チ。―地球の運動について―』 [漫画]
魚豊先生の代表作『チ。-地球の運動について-』が完結しました!
舞台は暗黒の中世と言われた15世紀のヨーロッパ。キリスト教による思想統制が行われて、聖書に書かれている内容が正しいとされていた時代です。
現代でもキリスト原理主義としてそういう人たちは残っており、有名な話ですが進化論を否定して神が生物を作ったので、進化などはないという主張をしております。
地球の運動については、聖書は天動説を説いています。
しかし、古代ギリシャでは地動説と天動説は争っていたのです。
天動説が優位になったのは、当時の天体観測の精度において完璧に説明することができたことで、地動説が廃れていきます。
さて、地動説を唱える者への激しい迫害・弾圧があったとされておりますが、実際は聖書と違うことを言えばすべて迫害・弾圧されていたので、地動説だけではないんですね。
十字軍以降、異教徒や異端は殺してよいというのが常識とされ、魔女狩りとして知られるこの迫害・弾圧は、主に民衆が行っていたので、天動説を理解できる民衆というのは、ほぼいませんので地動説を唱えることで迫害されるとすると、インテリ層であるキリスト教の聖職者からということになります。
ちなみに地動説を説いたコペルニクスもカトリック教会の司祭です。
現代でSNSで炎上と言われる迫害・弾圧が行われていますが、中世はより暴力的な手段で行われました。この当時は今のグレゴリオ暦と10日ずれていた古代ローマの時代に定められたユリウス暦を使い続けていたのです。
物語は主人公を引き継ぎつつ、続いていき地動説はある人物によって歴史の表舞台に再登場することになります。
『命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?』と物語は問いかけますが、登場人物はそれぞれの立場で貫いていきます。
私はもう少し、続くと思っていましたが、たしかにそろそろ物語は完結しても良いぐらいに活版印刷も天体観測器具も登場して地動説が復活する素地は整ったということでしょうね。
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