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なぜ銃規制は難しいのか? アメリカ独立戦争が一因 [時事]




ラスベガス・ストリップ銃乱射事件で米国で議論されている銃規制問題。
なぜ、銃規制できないのか?
と、日本人は不思議に思っていると思います。
(´・ω・`)

そもそも、米国はイギリスとの独立戦争で独立を勝ち取るのですが、その戦争が始まったとき、アメリカには職業的な陸軍も海軍も無く、各植民地には地元の民兵隊が存在するのみでした。
しかし、士気が旺盛で数にまさる米国が勝ちました。
米国の独立の経緯から、合衆国憲法には、以下の条文が記されました。

規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。 — アメリカ合衆国憲法修正第2条

それに世界には抵抗権という考えがあります。

君主・統治機構が民衆の信頼・支持を失い、転覆される事態は、古来より世界中で見られる普遍的な現象です。
日本の天皇家が125代続いておりますが、これがどれだけ稀有な事か、世界史を見るとよく分かると思います。

民衆は圧政に対する一方的服従や、その逆の場当たり的な反乱・混乱を避けるために、そうした行為を正当化・理論化し、指針・基準を設ける必要性から、瑣末な差異こそあれ、こうした概念・理論は様々な地域で各々に形成・醸成されてきました。
中国の易姓革命、そして日本では幕府政権などです。

今日、抵抗権・革命権と言った場合、近代市民革命(米国独立戦争・フランス革命)の基礎となった、ジョン・ロックの唱えたものを言います。

民衆が気に入らない政権を倒す権利が抵抗権・革命権です。
それには、民衆側にも武器が必要となるので、銃を所持する事も権利として認められている国が多いのです。

さて、ひるがえて日本は銃刀法があり、武器を持つことを禁止しています。
兵農分離して、民衆から武器を奪い、暴力の独占をしました。

暴力の独占というのは、マックス・ヴェーバーが自著・『職業としての政治』において唱えた主権国家の定義であり、20世紀における法哲学(法学)や政治哲学(政治学)において優勢となりました。
一定の領域において単独の主体(国家)が暴力に関する権威・権限を行使する状態を定義したものであり、領域もまたヴェーバーによって国家の特性として定義された。重要なのは、このような独占が正統のプロセスを介して生じなければならないことである。これは、国家が暴力を使用することを正当化(正統化)するものと批判されることもあります。

この暴力の独占を日本は江戸時代に完成の域に達してしまい、明治維新の革命で武器を持つ権利を持った武士階級により行われ、明治以後はその武士からも武器を取り上げて、暴力の独占は完成の域に達しました。

日本の治安が良いのは、武器を入手する事が困難である事が一因であると考えられます。
武器が手に入れやすい国は、犯罪被害も酷い事になり、テロリストが武器を手に事件を起こします。
(´・ω・`)

20世紀になり、民衆が手に入れられる武器では、国家が保有する兵器に勝る状態では無くなったので、この抵抗権・革命権の権利行使の為の武器が必要なのか?
と、いうのは、アメリカでも銃を規制についてよく意見に上がります。
もう、民衆が立ち上がり、他国と戦えるような時代では無いのです。
現代戦に使われる空爆やミサイルに銃では対抗できません。
もっぱら、その武器は同じ民衆に対して使われます。
治安の為に民衆から武器を取り上げて、暴力を国家が独占して管理していく。
日本ではもう数百年、この状態なのです。
今から初めても100年はかかるでしょうが、また痛ましい銃乱射事件が起こる前に初めて欲しいものです。
(´・ω・`)







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