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浅田次郎先生著「兵諫」の感想 [小説]

「蒼穹の昴」シリーズ:第六部 「兵諫」を読み終えたので、感想を書こうと思います。
私は中国史や文化が好きですが、清朝末期から現代史までの時代はあまり好きではありません。
しかし、浅田次郎先生の描く「蒼穹の昴」シリーズは大好きです。

読後の感想からいえば、次の長編の舞台は整ったと感じました。


兵諫

兵諫

  • 作者: 浅田次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/07/13
  • メディア: Kindle版



日本と中国の運命を変えた2つのクーデータ、二・二六事件と西安事件の軍事法廷をミステリー風に描かれます。
ご存じの通り、二・二六事件の結果は陸軍が権力を握り、軍部ファシズムの流れが加速していきます。
西安事件は、親日に傾きかけた中華民国を共同抗日と国共合作へと政策を決定させました。

日本のキーマンは石原莞爾、そして中国のキーマンは張学良です。

さて・・・(´・ω・`)
ここからは感想です。

この時代は欧米に白人以外は下等とみなされ人種差別されており、その反発として日本は過激派が明治維新を起こし、帝国主義的な政策を次々と実行し、中国を支配しようとしています。
これは、尊王攘夷思想の延長線上で、あくまで欧米と戦争して勝つ国にすることを目標にしています。

中国はというと、異民族の王朝であった清朝が滅び、その後の混乱の中で残った二つの勢力である中華民国と中国共産党の内戦が続きを中国共産党のいう長征が行われていて、彼らは転戦をしながらしぶとく戦い続けていました。

さて、石原莞爾としては日中戦争の準備が整ったと、彼の唱える世界最終戦論への地固めが終わったとされます。
そして、張学良がなぜ、西安事件を起こしたのか?
中国は東北4省である満州を含めた、清朝の版図こそ中国の領土だとする張学良と、遊牧民や周辺諸部族を含まない漢民族の王朝だった明朝の版図こそが中国の領土と考えた蔣介石の中国の範囲の差が、この事件の発端です。
張学良はその後、50年の監禁生活を送ります。

後世、中華人民共和国の建国の重大事件として語られますが、まさに清朝の版図をそのまま受け継ぎ、並ぶものない超大国として今、復活しようとしています。

日本はというと、人種差別が悪とされた現在、国際政治への興味も失い元の島国に戻ってしまいました・・・(´・ω・`)

浅田次郎先生が考える天命を示す「龍玉」は誰の元へといくのでしょうか?

私は中国の政治体制を変えたのは、史上ただ二人、秦の始皇帝と毛沢東と言われているので、てっきり毛沢東へと渡るのかと思ったのですが、どうも違うようですね。


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